2020.09.13 Sunday

ドライフライ竿…その3

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    ハーディーにはアングラーズガイドという素晴らしい資料があるので、戦前、いや、もっと古い竿やリールの情報を得ることも比較的容易です。

    レオナルドも、例の火災の前か後かがちょっとしたターニングポイントになっているようですが、レナードの火災なんて、何のことはない、最近じゃないですか。

    1910年代とか20年代のレオナルドの竿…なかなか詳しいことが分かりません。


    アングラーズガイドは有り難いのですが、古いものは白黒のイラストなので、ディティールはイマイチのことが多く…

    その点、この茶色い本は、イラストではなくて実写版…

    様々な資料で語られる古い竿がどんなものだったのか、実感できるところが凄いですね。


    それで、テーマにしたドライフライ竿ですが、現在のドライフライ竿のイメージと、ハルフォードの時代のドライフライ竿のイメージは、かなり違いますね。

    当時のドライフライ竿は、日本の渓流に比べれば幅の広いチョークストリームで、長いシルクラインの先に結び付けたドライフライを水面に置くために、10フィートを超えるような長さがあり、せいぜい7フィート6インチ4番まで、それを超えると「重い」とする現代の感覚からはかけ離れた竿でした。




    これは私が所有している1950年代のハルフォード・ノックアバウト…

    古いハーディーのパラコナ竿が出回り始めた頃、最も出回ったのは、戦後の1950年代から60年代のものだったように感じています。

    今にして思えば、戦前の竿とは全くの別モノなのですが、ウブだった私はというと…

    「へぇ〜、ハルフォードはテスト川でこんな竿を使ってドライフライの釣りを楽しんでいたのか」と…

    こんな太いティップの強い竿だったのに、嬉しくて、皆がデリケートな釣りをしている冬の止水の管理釣り場に持って行ったこともありました。いやはや、お恥ずかしい。


    調べてみれば、私のハルフォード・ノックアバウトはドライフライの竿どころか、シートラウトや大型の鱒に適した、湖やリザーバー(ため池)でロングキャストするのに好都合な竿だったのであって、同時期のクラウン・ホートンに至っては、シートラウトやグリルスに適した竿でした。

    クラウン・ホートンなんて名前ですから、ホートンクラブの所有するテスト川でのデリケートなドライフライの釣りを思い浮かべたらとんでもない、もっと豪快な釣りのための竿だったわけです。




    でも、このあたりの竿だって、戦前までは、ホートンにしてもイッチェンにしても、チョークストリームでのドライフライのための竿として通用していたと思うのですね。

    9フィート6インチ、10フィートもある竿ですから、正直言って重いことは重いです。

    でも、戦後の剛竿に比べれば、遥かに細く、軽く、しなやかにできていました。


    茶色い本に登場する、短いシェイプドグリップのクラウン・ホートンを手にした時、その軽さとしなやかさには、心底、衝撃を受けたものです。


    今の時代にこうしたドライフライ竿でデリケートなドライフライの釣りを楽しめるかと言えば、なかなか難しいでしょう。

    でも、ある程度開けた川、あるいはバックにボサのある川で、40センチ、50センチの鱒をドライフライで狙うのであれば、これらは十分に使える竿だと思います。


    忍野の桂川も、かつてはそんな川でした。

    滔々と流る水は重く、深く、背後はボサだらけで、かけた鱒に走られても追いかけることができません。

    とんでもない大物が潜んでいる雰囲気がプンプンしていた当時、大型の鱒を取りたいのであれば、長さは9フィート以上、ラインは6番はないとね…というのが一致した考えだったと記憶しています。


    まだ続けます。
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