2020.09.30 Wednesday

我がW.B.R.…その8

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    いやしかし、W.B.R.はもちろんのこと、古いレオナルドのトーナメントの情報って、探してもなかなかなくてね。

    ネットを検索していたら、良く拝見させていただいているバンブーロッド・ブラザースさんのブログ、「Spey Bum」にトーナメントシリーズのことが書かれているページを見つけましたよ。




    8フィートの3ピース、4番、3番も使えるしなやかなロッドだと…

    私のより1フィート短い…

    8フィートじゃ高いだろうなぁ(笑)


    ライン番手は、この時代の竿に3番だの4番だのと表記されているわけではないので、実際にラインを通してみて、非常にデリケートな竿だと判断されたのでしょうね。


    大きなジャーマンシルバーのチェックがクラッシックな雰囲気を醸し出していて、少し離れた位置に取り付けられているフックキーパーは、あまり見かけないデザインだけれどオリジナルデザインだろうと。

    うんうん、フックキーパーの位置も私のトーナメントと同じですよ。


    グリップの形状は独特の握り易いもので、レナードのトーナメントシリーズにあったデザインだと。

    うんうん、グリップの握り易さについては私も全く同感であります。





    トーナメントシリーズの全てがこのようなグリップだったわけではなく、一時期作られていたもので、後期のトーナメントシリーズになるとお馴染みのレナードシガーになるそうですが、このへんは数多くの個体をご覧になっているからこその見解で、この手のグリップが限られたものだったことが分かりますよ。

    20フィート近いロングリーダーを使ったりするには8フィートクラスの柔らかいアクションのロッドがバッチリで、古いバンブーロッドが今のロングリーダーのスタイルにマッチするなんて、バンブーロッドは時代を飛び超えてきますね!と結んでおられて、Spey Bumさんが単なるコレクターではなくて実際に古い竿を使用されていることがうかがわれます。


    ということで、長さは違うけれど、私のトーナメントと同じような雰囲気のトーナメントが実在することが分かりましたよ。



    どうやら私のトーナメントは…フェイクではなさそう…かな(笑)


    まだ続けます。
    2020.09.29 Tuesday

    我がW.B.R.…その7

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      と言うことで、たまたま見つけた9フィートのレオナルドの「トーナメント」を取り寄せてしまった次第です(笑)

      久々の海外からの購入。実はアメリカからは初めてということで、不安もあったのですが、ネットでのオーダーは分かりやすく、日本に送る送料についても丁寧に記されていて、スムーズに手続きできましたよ。

      おまけに、受け取るまでの間、専用サイトで荷物が現在どこにあるのか地図上で確認できるので、待つ楽しみも味わうことができました。

      梱包も完璧でしたね。


      はやる気持ちを抑えて、家族が寝静まってから開封しました。




      いつもながら、レオナルドのチューブは細いですね。

      リストに載っているパラコナ竿を英国にファックス一本で注文し、「あとは着いてからのお楽しみ」だった以前とは違って、事前に画像で状態を確認できますから、想像していたより程度が良いとか悪いといった大ハプニングは起きないのですが、まあ、現物を手にしないと分からない感慨はあります。




      まず袋から取り出して握ってみたバットセクション…

      一般的なレオナルドの竿とは異なる「シェイプ型」、いわゆるハーフウェル型のグリップは、戦後のパラコナ竿ではありふれた形なので違和感はないのだろうなぁ…

      なんて考えていたのですが、グリップを握った瞬間「おっ」と思いました。

      まず、長さが異常に短い…

      手で握るとほとんど余裕がなくて、アメリカの大男が握れば掌にすっぽり隠れてしまうのではないかと思うほど…


      思い出したのがパラコナのL.R.H.シリーズ…

      ドライ、ドライ・ウエット、ウエットの三種類があって、いずれも「シェイプ型」のグリップなのですが、これも長さが非常に短い…

      一般にパラコナ竿は、グリップが長めになっていて、装着するリールの重さに合わせて握る位置を前後させることによって微妙にバランスを調整できるようになっているのですが、このL.R.H.シリーズには、その余地がほとんどない…


      それは、L.R.H.ライトウェイトという、この竿専用のリールが用意されていて、このリールを装着すればぴったりとバランスが取れるようになっていたのですね。

      だから、L.R.H.シリーズの竿に重いパーフェクトリールなどを装着するとテールヘビーになっちゃう…



      …と、話をレオナルドに戻して、何に「おっ」と思ったのかというと…





      それはグリップのシェイプの仕方…

      レオナルドのグリップはパラコナのそれよりもグラマーというか、出るところが出ていて、掌の中心の窪みの部分へのグリップの当たり方が微妙に違うのがはっきりと分かるのですよ。

      例の「茶色い本」に掲載されている1912年製のパラコナのイッチェン、このグリップが今回のレオナルドのトーナメントのグリップによく似ているのですが、レオナルドの方がより「ボンッ・キュッ・ボンッ」なのですよ(笑)

      nori博士の「ザ・ヒストリー・オブ…」に掲載されているというW.B.R.のモノクロ写真を見ても、グリップの中間の盛り上がり方がパラコナ竿と比べても顕著に見えます。


      この「トーナメント」はW.B.R.の血を引いていると考えて良いのではないか…



      一目見て、いや、一握りして、そう思えたのでありました。


      まだ続きます。
      2020.09.28 Monday

      またちょっと休憩…

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        パラコナ竿のリールフィッティングって、うんと初期だとフィラーがウッドのものもありますが、大抵は例の黒いやつかコルクのスケルトンなので、ウッドの材質がどうのこうのと気にしたことなんてありませんでしたねぇ。

        それが、他のバンブー竿だと、コルクのスケルトンもありますが、フィラーに用いるウッドは、男性のネクタイというか、唯一贅沢できるところなので、アマチュアの方でも高価な銘木を使われる方が多いですね。

        バーズアイメープルやタイガーメープル、ウォールナットにチーク、ブライヤー、スパニッシュシーダー、スネークウッド、栃、花梨、黒柿、紫檀、黒檀、神代杉と、まあ色々あること…

        あまり聞いたことのない銘木もあるし、ウイスキーのオーク樽を加工したものまであるようです。


        天然の素材ですから、研磨すればこの世に同じものは二つとない杢目が浮き出て…

        だからと言って竿の機能には何の影響もないんですけどね(笑)



        そんな中で、レオナルドの竿を調べていくと必ず出てくるのが、リールフィッティングのフィラーに使用されているバターナッツあるいはバターナットという木材…





        見てのとおり、特別に複雑な杢目が出ているわけではないし、ごく普通の木材にしか見えません。

        でも、この地味で控えめな杢目が、レオナルドの雰囲気に実に良く合っている…





        これを見ていると、銘木のフィラーが逆に下品に見えてしまうから不思議です。



        「ねぇねぇ岡村ぁ、バターナットって、どんな木?」


        ははは、思いのほか情報がないんですよね。




        叱られる前に…

        え〜と、原産地は北アメリカ・マサチューセッツ州…

        樹高は20〜30mに育つため、シンボルツリーとして植えられ、収穫後の種は常温で25年の保存が出来るため、昔の原住民の保存食だったと。




        木質は、心材は薄い褐色、辺材は黄白色で、木理は通直で肌目は粗く、比較的軟らかく加工性が良く、耐朽性は高いと…

        和名はクルミノキで、実はナッツとして食用になる…




        あらら、何のことはない、クルミのことですよ。


        マサチューセッツ原産ということですから、レオナルド社としては、海外から輸入してくる銘木ではなく身近にあったクルミ材を使用したということなのでしょうね。

        考え抜かれているようでいて、容易に手に入るものを使ったに過ぎないのかもしれませんが、とにかく身近な素材ですから、全体的な収まりが悪かろうはずがないですよね。


        日本のビルダーさんの竿を見ていると、リールシートフィラーだけが妙に浮いてしまっているものが少なからずあるような…



        普及品の腕時計にダイヤモンドを埋め込んだところで時計自体が良くなることは決してないのであって、まあ、このあたりはビルダーさんそれぞれの考えですから、とやかく言うことではないのですけどね。


        まあ、中にはそういう風に見ている人もいるということで(笑)
        2020.09.27 Sunday

        我がW.B.R.…その6

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          そんなある日、たまたま行き当たったアメリカの某ディーラーのサイト…

          9フィートであれば、レオナルド以外でも選り取り見取りなのかもしれませんが、レオナルドに絞って探します。

          そうしないとW.B.R.を探す意味がないのでね(笑)


          多くの人がイイと思うような短い竿は、SOLDが並んでいます。

          なおもスクロールしてくと、あらら、ちょっと変わったレオナルドに値段が付いていました。

          それは、シガータイプのグリップが並ぶ中で、「シェイプ型(先が拡がったハーフウェル)」のグリップが付いていて、その先端には大型のニッケルシルバーのチェックが見えます。

          バットキャップの刻印の裏側にTOURNAMENTと刻印があると…

          1930年代の竿だそうですから、プレ・ファイヤーどころか戦前ですよ。

          リフィニッシュされているとは書いていないけれど、う〜ん、おそらくどこかの段階でリフィニッシュされているんだろうなぁ。


          市場に出回っている高価なバンブー竿の中には、イミテーションが少なからず含まれていると聞いたことがありますが、こういう時、メタルワークの刻印というのは有り難いですね。

          メタルワークのイミテーションを作るのは大変な手間がかかりますから、それだけイミテーションを掴まされるリスクは少ないのではないかと。


          パラコナ竿のリアルイミテーションなんて作ったとしても、とてもじゃないけれど採算が取れませんからね(笑)

          前にも書きましたが、お金があったら現代のビルダーさんにロックファストジョイントとか頼んでみたいものです。

          と言うことで、パラコナ竿なら色々見てきましたが、あんまりきれいにリフィニッシュされていると、逆に違和感が出てしまったりします。

          もちろん、上手にリフィニッシュされたものもあって、パラコナ竿ではこれまで色々と「お勉強」してきましたが、レオナルドはトホホなほど超初心者…





          まあ、ギャリソンやギラムなども数多く扱っている名のあるディーラーさんだし、仕入れた以上は売る前にしっかり鑑定しているだろうから、さすがに某オークションサイトや某フリマサイトのようにインチキ品を掴まされることはないだろうと…



          とにかく、ものは試し、何事も経験だよねということで…




          ポチッと…





          ああ、ネット社会って、どうしてこんなに便利なのだろう…
          2020.09.26 Saturday

          我がW.B.R.…その5

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            ビンテージタックルの売買サイトを眺めていると、日本でもアメリカでも、長くても8フィートまで、ライン番手も5番止まりですね。

            7フィートの4番前後が最も人気が高い…すなわち値段も高いと。

            こんな基準に照らすのであれば、パラコナ竿なんてマーベルくらいしか当てはまりませんよ。

            C.C. de Franceとかも短いけれど、マーベルと比べたらかなりの剛竿です。


            では、戦前のレナードやペインはそんな繊細なものばかり作っていたのか…

            サウスベンドとかヘドンといった、日本にはあまり入ってこない、より大衆向けのメーカーでは、9フィートクラスがいっぱい作られているようですね。

            ハイエンドメーカーだって、nori博士の「ザ・ヒストリー・オブ…」に載っている1920年代のペインのリストは、8フィートの201から始まっています。10フィートの215まで。


            どうして7フィートクラスの繊細な竿ばかり市場に出てきて9フィートクラスはあまり出てこないのか…

            う〜ん、勝手な推測ですが、9フィートクラスは実用品として使い倒されちゃっているからなのではないかと…

            華奢で繊細な竿は、高級であればあるほど使うのがためらわれるので、あまり使われずに温存され、コンディションの良い状態で後世まで残る…

            売る側もそういう繊細な竿の方が高く売れるのが分かっているから、結果としてそういう竿ばかりが市場に出てくると…


            あと、アメリカにはヤマメはいませんから、7フィートクラスの繊細な竿は、川の上流部で小型のブルックトラウトを釣るための竿ですよね。

            クルマでせいぜい1時間も走ればヤマメの棲む渓流に行ける我が国とは違って、アメリカでブルックトラウトの釣りを楽しめる人はかなり限られていたのではないか…

            当時は7フィートクラスの繊細な竿は、どちらかと言えば趣味人による特注品であり、釣りの性質から言っても大切に扱われ、それ故に製造本数が少ないながらも残ったのではないか…

            だから、戦後にアメリカから入ってきたフライ竿は、7フィート6インチ〜8フィート・5〜6番の標準的な竿であって、最初は6フィート・3番なんて竿はなかった…

            このへん、本当のところはどんなもんなんでしょうね(笑)


            アメリカのサイトを見ると、日本ではほとんど見かけないような9フィートオーバーのドライ・サーモン用の竿がお値打ち価格で出ています。

            レナードもペインもフレッド・トーマスだって、ちゃんとそうした竿を作っていますよ。

            そんな中に、8フィート6インチ〜9フィート・5〜6番くらいの私にとってはイイ感じの鱒竿が含まれているのではないか…


            そんな期待を胸に、ちょこちょこと探したのですが…


            そんなに甘いもんじゃありませんでしたねぇ(笑)


            まだ続けます。
            2020.09.24 Thursday

            我がW.B.R.…その4

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              nori博士の「ザ・ヒストリー・オブ…」には、スキューズの著書「The Way of a Trout with a Fly」に掲載されているというW.B.R.のモノクロ写真が掲載されています。

              私が所有している「The Way of…」には、版の違いなのか残念ながらW.B.R.の写真は掲載されていませんでした。

              それはともかく、写真を見る限りでは、段巻きの施された3ピース・2トップの竿で、フィッティングはウッドのフィラーにポケット&リング、グリップは「シェイプ型」のコルクで、その先端には金属製の大きなチェックが見えます。

              シュウィバートの「TROUT」に掲載されているカルカッタ竹製のスキューズの竿のイラストを見ると、大きなチェックの付いた段巻き竿であるという点では一致するものの、フィッティングがフルメタルであることや、年代が1902年となっていること、所有者の情報が異なることなどから、スキューズが1905年に入手した9フィートのW.B.R.ではなく、それ以前に入手した10フィートのトーナメント竿なのではないかと推察されます。


              さて、レナードと言えば「レナードシガー」と呼ばれるように、優美なシガータイプのグリップが思い浮かびますが、写真のW.B.R.を見ると、一般的なレナード竿とはグリップの形状が違いますね。

              群馬の竹林親方がよく仰っていますが、レナードのグリップって簡単には真似できないそうで、パンプキングリップなんて、他のビルダーが真似しようとしても違う雰囲気になっちゃうのだと…

              そんな王者の風格ともいえるレナードのグリップですが、古いトーナメントモデルにはこのような「シェイプ型」のグリップもあったのですね。


              これまで、こんな形のグリップのレナードがあると意識したことはなかったのですが、よく見れば緑川さんの「アメリカン・バンブーロッドのいままで」におまけで付属していた小冊子に掲載されていた、古いレナードの9フィートの「トーナメント」のグリップも、このような「シェイプ型」をしていました。


              このタイプの竿がW.B.R.の末裔に当たるのではないか…


              こんな竿が今も残っているのであれば、今からでもまだ探せるのではないか…


              9フィートの長竿であればおそらく不人気だろうから、市場に出ていたら案外お値打ちなのではないか…



              …と、そんな考えがムクムクと頭をもたげてきたのでありました。


              まだ続けます。
              2020.09.23 Wednesday

              我がW.B.R.…その3

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                G.E.M.スキューズのレナード、W.B.R.のことは、その後もずっと気になっていました。

                スキューズがW.B.R.について言及している著書「イッチェン・メモリーズ」を入手したりしたのですが、似たような竿が欲しいと思っても、やはり情報が今一つ足りなくて…


                そんな中で、nori博士による「ザ・ヒストリー・オブ…」は、これまでの資料では今一つ明確でなかった情報がきっちりとまとまっていて、これは嬉しかったですね。




                特に、レナードの情報がきちんと整理されているのが有り難かった。

                これより前に出版されたアメリカのバンブー竿の本にもレナードのことが書かれていたのですが、「○○年に…」といった時間的な整理がなされておらず、まあ、記載がないのだから間違えようがないとも言えますが、読み物としては面白くても、肝心なところが霧の中のような感じがして…

                そして、「ザ・ヒストリー・オブ…」の中にスキューズのW.B.R.についてのまとまった記述があるのを見つけた時は、もう嬉しくて、シュウィバートの「TROUT」も引っ張り出してきて、読み比べながら興味深く拝読しました。


                要約するに、スキューズは1902年に初めて触れた10フィートのレナードのトーナメント竿に強い印象を受け、1903年に10フィートのトーナメント竿を入手…

                翌1904年、T.B.ミルズ親子がイッチェン川で釣りができるよう便宜を図ったスキューズは、彼らが持参した9フィート・5オンスのレナード竿に深い感銘を受け、翌1905年にスキューズは9フィート・5オンスのレナードのドライフライ竿を入手…

                その後、1945年に竿を置くまでの40年間使用し続けたが、ヘタリも曲がりも生じなかったと…

                やがてこの竿は後にW.B.R.と言われるようになり、その名声は世界へと発信され、現在はロンドンのフライフィッシャーズ・クラブに収蔵されていると…


                このスキューズの愛竿については、1900年前後にハイラム・レナードの甥のルーベン・レナードが開発した「トーナメント」の一つではないかと言われているそうで。

                当時のカタログには、レナードは英国や欧州の顧客向けにライト・トーナメント竿として、10フィート・6オンスの「イッチェン(No.1)」と9フィート5-3/4オンスの「イッチェン(No.2)」、9フィート・5-1/4オンスの「エンツ」が推奨されていて、これらはドライフライ・アングラー向けに通常よりも大きめなコルクの「シェイプ型」のグリップが装着され、10オンス以上の英国竿と比較してもドライフライ用シルクラインをより遠くに飛ばせるだけのキャスティング能力が備わっていると…

                そして、nori博士は、W.B.R.はレナードの「エンツ」だったのではないかと結んでいます。


                ハーディーの「イッチェン」は1930年代のものを一本所有しているのですが、レナードも「イッチェン」を作っていたとは…

                いやはや、勉強になりました。
                2020.09.22 Tuesday

                ちょっと休憩…

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                  このホートンは、1920年製…

                  我が家に来たときは80歳くらいだったはずなのですが、めでたく百歳に…

                  丸竹のトップケースに入った2本のトップは、時空を超えてきたかのようなほぼ新品同様状態…

                  それに比べるとバットとミドルにはそれないりの経年変化がありました。


                  私のところに来てから、コンパウンドで磨いたりして、表面はきれいになったのですが、磨き過ぎたのか、ガイドラッピングのところどころにシルク糸がむき出しになってしまい、最近、段巻きの一つがポロリと…

                  これは悲しかったですね。

                  緑色のシルクで補修することも考えたのですが、一つだけだから強度に影響はないだろうと…

                  ただ、段巻きが外れた部分は竹の地肌が覗いているので、これは埋めてやりませんと…


                  ということで、シェラックニスを仕入れてきました。

                  カイガラムシの一種が分泌する樹脂成分、シェラックをアルコール系溶剤に溶解して塗料化したものです。

                  「シェラック」自体の歴史は古く、日本にはその中国から渡来し、奈良の正倉院に「紫鉱」という名でその塊が収蔵されているそうです。

                  日本でシェラックニスが工業的に使用されたのは、明治時代に洋家具の塗装に使用されたのが最初と言われていますが、その後、石油化学の産物である合成樹脂が広く使われるようになり、シェラックの需要は減り続けていたのだとか。

                  最近では再びシェラックが見直され、塗料としてだけでなく、化粧品や医薬、食品などにも広がってきているそうです。


                  薄い飴色をしたシェラックニスを平筆に取って、ガイドラッピングの上にそっと乗せると、スッとニスが浸み込んで、巻き糸の緑色が濃くなって、うまいこと補修できました。

                  一時間ほど置いてから再び塗り重ねることを3回程度繰り返して、完成。

                  細かく段巻きが施されているので、塗りムラがあっても気になりません。


                  ということで、しっかり乾燥させたら、軽くコンパウンドを当てて、オレンジワックスで仕上げてみようと思います。
                  2020.09.22 Tuesday

                  我がW.B.R.…その2

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                    私が古いパラコナ竿に興味を持ったのは1980年代に入ってからですが、当初は本当に情報がありませんでしたね。

                    当時のハーディーのカタログを見ても古いパラコナ竿なんて載っていないし、私などは凄く高価なのだろうと思い込んでいましたよ。

                    今思えば、古いパラコナ竿なんて、英国内では普通に流通していたはずだし、そんなに高価なものではなかったはずなのですが、我が国で見かけることはまずありませんでしたねぇ。

                    そんな中で、まずは比較的新しい1950年代頃のパラコナ竿が入ってきて、少し遅れてハーディーの歴史の情報が入ってきたのではないかと記憶しています。

                    当初は、現地での価格と比べてかなり高額な値段が付いていましたから、パラコナ竿やパーフェクトリールで儲けた方もいたでしょうね。

                    「○○さんが仕入れるモノは高い」なんて話を聞いたこともありましたよ。


                    やがて、私も英国のディーラーから直接、現地価格で入手するようになり、古いパラコナ竿のことも色々と分かってきました。

                    その後、竹を削って竿を作るロッドメイキングが流行して、ギャリソンが一躍有名になりました。

                    既にレナードと呼ばれるようになっていたレオナルドやトーマス&トーマス、R.L.ウインストンといった、昔から日本に入っていたメーカーに加えて、あまり国内では語られることのなかったペイン、ヤング、ギラム、ディカーソン、ハウエルズといったアメリカの著名なメーカーの情報が「フライの雑誌」などによってもたらされ、皆真剣に読み耽ったものです。

                    伝説的な竿のテーパーデータをもとに、それらしい竿が作れるようになったことで、地方の釣具屋のオヤジから客までが、「やれギャリソンが、ヤングが…」などと口にするようになりました。

                    本物を所有していたことがあるかどうかは聞きませんでしたけどね(笑)


                    私も少なからず興味はあったのですが、パラコナ竿と比べて、レオナルドやペインといったアメリカの名竿は、本国でも高価であり、そう易々とは手が出ませんでしたよ。

                    W.B.R.も高価なレオナルドですから、パラコナに夢中になっていた私にとっては、まさにアウトオブ眼中だったわけで…


                    とにかく、小僧の頃は一生持てないだろうと思っていたバンブー竿が、それも英国の名品ハーディーの竿が、それも戦前の分厚いアングラーズガイドに載っているのと寸分違わぬ竿が何本も手に入ったわけですから、十分と言えば十分でした。


                    あらら、全然W.B.R.の話になってませんね(笑)

                    画像は、今の私にとってもW.B.R.ならぬM.B.R.(マイ・ベスト・ロッド)であります。


                    まだ続けます。
                    2020.09.21 Monday

                    我がW.B.R.…その1

                    0



                      G.E.M.スキューズのW.B.R.のことを初めて知ったのは、アングリング誌での島崎鱒二氏の文章でした。

                      イッチェン川を舞台に、ハルフォードを太陽のような存在とするドライフライ信奉者の中にあって、アップストリーム・ニンフの優位性を唱え、一歩も引かなかったG.E.M.スキューズ…

                      そのスキューズがこよなく愛した竿は、ハーディーではなくて何とレナードだったと…

                      ドライフライの竿が、10フィート、11フィートは当たり前だった時代に、手首を痛めていたスキューズにとって9フィート・5オンスという軽さは、何にも代え難いアドバンテージだったのでしょう。


                      スキューズのレナードは、W.B.R.、World Best Rodと呼ばれたのだと…

                      どんな竿だったのだろうと、興味津々ではあったのですが、レナードと言えばパラコナより遥かに高価だったこともあり、いつしか無意識に心の片隅に追いやっていました。


                      それから何年か経って、忘れもしない、アーネスト・シュウィバートの大著「TROUT」の中に、ハイラム・レナードによる1902年、G.E.M.スキューズの竿を描いたイラストを見つけて「あっ」と思ったのですが、トンキンではなくカルカッタとなっていたこともあり、やはりその時は現実味のあるものとは思えませんでした。


                      話は変わって、少し前までは、ハーディーやオービスはもとより、レオナルドについても、その歴史に関する情報って、少なかったですよね。

                      当時は、海外の釣り具メーカーの歴史に興味を持つ人も少なかったように思います。


                      今やプレ・ファイヤーかどうかで竿の評価が左右されると言われる、有名なレナードの社屋が全焼したあの火災ですが、私がこれを知ったのは確か1983年のことだったと記憶しています。

                      「知ってる?レオナルドって工場が火事で燃えちゃったんだってさ。」

                      「えっ、本当?」

                      この会話ではその時期については触れられていませんが、田舎者の私はてっきり最近の話だと思っていたし、周囲の誰もが二十年近く前の話だとは思っていなかったはずです。


                      今思えば笑っちゃうような話ですが、インターネットもないし、釣り雑誌を見たってそんな情報は載っていませんでしたから、洋書を入手して原書で読めるようなごく限られた人にしか情報はなかったのではないかと思います。
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